💡豆知識⑤:離婚歴がある外国人と結婚したい!

🌸ちょっと役立ち豆知識💡

 

ℚ 離婚歴がある外国人と結婚したいですが、気をつけることは

 

本人Aが、外国人Bと結婚をする前に、心配になって相談に来ました。外国人Bは離婚歴があり、離婚してまだ2ヵ月くらいしか経ってないとのことです。

このような場合、すぐに結婚届を出しても問題ないでしょうか❓

また、外国人Bの住所が日本にあるから、日本で婚姻手続きを行えばよいのでしょうか❓

 

💡婚姻にはどちらの法律が適用になる❓

 婚姻要件の準拠法

婚姻のような法律行為の当事者の国籍が異なるケースにおいて、どの国の法令を適用するか、準拠法の選定が問題となります。

そこで、自国の渉外的私法関係に適用する準拠法を指定することを目的とした独自の国際私法を規定していますが、日本における国際私法として「法の適用に関する通則法(通則法)」において準拠法規定が定められています。

 

 法の適用に関する通則法(一部抜粋)

第24条(婚姻の成立及び方式)婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による。

2 婚姻の方式は、婚姻挙行地の法による。

  前項の規定にかかわらず、当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする。ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない。

 

第25条(婚姻の効力)  婚姻の効力は、夫婦の本国法が同一であるときはその法により、その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法により、そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法による。

 

よって、日本人Aと外国人Bの再婚において適用される準拠法は、日本人Aは日本法(民法)、外国人Bは本人の母国の法律が適用されることになります。

また、再婚である外国人Bが女性の場合は、本人の本国法に再婚禁止期間の規定があるのかを必ず確認しなければなりません。

ちなみに、日本は2024年4月1日以降、女性の再婚禁止期間は廃止されましたが、国によっては再婚禁止期間が300日間となっている国もありますので、注意が必要です。

通常、婚姻届を提出する際には、夫婦それぞれの「婚姻要件具備証明書」を添付することになっています。

婚姻要件は、再婚禁止規定、婚姻適齢、婚姻における父母の同意要件等、国によって異なりますので、国際結婚においては必ず夫婦それぞれの本国法を確認しておくことが重要です。

もしも夫婦一方が婚姻要件を満たしていないときは、婚姻届は受理されません。

 

💡外国人Bの住所が日本にあるから、日本で婚姻手続きを行えばよい❓

婚姻の方式は、通則法第242項及び3項の規定により、設問のケースでは日本の方式(婚姻届の提出→受理)でOKとなります。

日本で有効に成立した婚姻(創設的届出)を外国人Bの母国へ届出(報告的届出)をすることにより、両国において有効に婚姻が成立することになります。

具体的には、日本に駐在する大使館・領事館に日本で婚姻した書類を提出して本国にも届け出をする方法となります。

 

もし日本人Aが外国人Bの母国で婚姻手続きを行う場合は、Bの母国の法律に従って婚姻手続きを行い、Bの本国機関発行の婚姻証明書類を駐在する日本領事館又は大使館へ提出することにより、日本においても有効な婚姻が成立することになります。

 

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◎checkpoint!!

 

法例の一部を改正する法律の施行に伴う戸籍事務の取扱いについて(一部抜粋)

平成元年102日民二第3900号民事局長通達

 
第1 婚姻
1 創設的届出
(1)
実質的成立要件
ア 婚姻の実質的成立要件は、従前のとおりであり、各当事者の本国法による。
イ 当事者の本国法の決定は、次のとおり行うものとする。
(
) 日本人の場合
  重国籍である日本人の本国法が日本の法律であることは、従前のとおりである(改正法例第28条=通則法第38条第1項ただし書)。
(
) 外国人の場合
① 外国人である婚姻当事者が届書の本籍欄に一箇国の国籍のみを記載した場合は、当該記載された国の官憲が発行した国籍を証する書面(旅券等を含む。以下「国籍証明書」という。)等の添付書類から単一国籍であることについて疑義が生じない限り、その国の法律を当該外国人の本国法として取り扱う。
② 重国籍である外国人については、その国籍を有する国のうち当事者が常居所を有する国の法律を、その国がないときは当事者に最も密接な関係がある国の法律を当事者の本国法とすることとされた(改正法例第28条=通則法第38条第1項本文)。
  この改正に伴い、二以上の異なる国の国籍証明書が提出された場合又は届書その他の書類等から重国籍であることが明らかな場合は、次のとおり取り扱う。
ⅰ 国籍国のうち居住している国の居住証明書の提出を求めた上で、当該証明書を発行した国に常居所があるものと認定し(後記第822)参照)、当該外国人の本国法を決定する。
ⅱ いずれの国籍国からも居住証明書の発行が得られない場合は、その旨 の申述書の提出を求めた上で、婚姻要件具備証明書を発行した国を当該外国人に最も密接な関係がある国と認定し、その本国法を決定する。
ⅲ ⅰ及びⅱにより当該外国人の本国法を決定することができない場合は、婚姻届の処理につき管轄法務局若しくは地方法務局又はその支局(以下「管轄局」という。)の長の指示を求めるものとする。
(2)
形式的成立要件(方式)
  婚姻の方式は、これまでの婚姻挙行地法によるほか、当事者の一方の本国法によることができることとされた(改正法例第13条=通則法第24条第3項本文)。したがって、外国に在る日本人が民法第741条の規定に基づき日本の大使等にする婚姻の届出及び当事者の双方又は一方が日本人である場合における外国から郵送によりする創設的な婚姻の届出は、当事者の一方の本国法による方式によるものとして受理することができる。
2 報告的届出
(1)
日本人同士が外国においてした婚姻の報告的届出については、従前のとおりである。
(2)
日本人と外国人が外国においてする婚姻は、婚姻挙行地法による方式によるほか、当該外国人の本国法による方式によることができることとされたことに伴い、外国に在る日本人は、外国人配偶者の本国法による方式により婚姻し、婚姻に関する証書を作らせたときは、その本国が婚姻挙行地国以外の国であっても、三箇月以内にその所在する国に駐在する日本の大使等にその証書の謄本を提出しなければならないこととなる(戸籍法第41条の類推適用)。
(3)
日本において婚姻を挙行した場合において、当事者の一方が日本人であるときは、他の一方の当事者の本国法による方式によることはできないこととされた(改正法例第13条=通則法第24条第3項ただし書)ので、日本人と外国人が日本において婚姻をした(日本人と外国人が当該外国人の本国の大使館等において婚姻をした場合を含む。)旨の報告的届出は、受理することができない。

*法例の条文番号を引用している箇所は、法の適用に関する通則法の条文番号も併記。

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