◆韓国戸籍あれこれ ( 韓国の養子縁組について)

韓国養子縁組制度

■民法改正後の養子縁組■

2014年7月から韓国では成年年齢を満19歳へ引き下げたことをはじめ、従来の規定を大幅に改正した民法が施行されています。この改正により養子縁組制度についても従来よりも厳格な要件を求めるようになりました。

入養(養子縁組)については、韓国民法に規定があるほか、その具体的な要件や手続については特例法である「入養特例法」が施行されています。また、政府の保健福祉部が管轄する財団法人「中央入養院」では、養子縁組に関する相談や情報提供、縁組前後のケアーなど様々な支援を行っています。

このように韓国において養子縁組に関する規定や機関が充実している理由の一つには、朝鮮戦争後大量に発生した戦争孤児を国が政策として縁組を推進してきた歴史があり、日本の養子縁組制度とは少し異なる背景があります。

■入養(養子縁組)成立要件

成年になった者は養子縁組をすることができる

未成年者を養子にする者は家庭法院(裁判所)の許可を得なければならない

改正により成人年齢が満19歳へ引き下がったことで、満19歳未満の未成年者を養子縁組する場合は家庭裁判所の許可が必要になります。

  • ★養子適格

・保護者がいない者

・父母が縁組に同意している者

  • 家庭法院より親権喪失の宣告を受けた者の子
  • その他扶養義務者が不明な者

養親適格(以下の要件をすべて具備した者)

  • 養子を扶養できる十分な財産を有すること
  • 宗教の自由を認め、相当な養育と教育が可能であること
  • 虐待、家庭内暴力、薬物中毒等の前歴がないこと
  • 外国人の場合は本国法において養親要件を具備していること
  • 子の福祉や人権侵害のおそれのある職業に従事してないこと
  • 縁組成立前に所定の教育を受けていること
  • ≪同意要件≫

養子となる者は父母の同意を得なければなりません。成人であっても父母の同意が必要です。

未成年者は父母の同意に加え、13歳以上であれば法定代理人の同意を得て養子縁組を承諾し、13歳未満であれば法定代理人による代諾により養子縁組を承諾しうるとする意思表示制度を定めています。但し、父母が親権喪失の宣告を受けている場合又は所在不明の場合は同意は必要ありません。

家庭法院(裁判所)による縁組の許可

未成年者の養子縁組については原則父母及び法定代理人の同意又は承諾が必要ですが、下記の事由に該当する場合は父母又は法定代理人の同意又は承諾を得られなくても家庭法院(裁判所)の許可により養子縁組をすることができるとしています。

  • 未成年である養子の法定代理人が正当な理由なく同意又は承諾を拒む場合
  • 法定代理人の所在不明により同意又は承諾を得られない場合
  • 父母が3年以上扶養義務を履行しない場合
  • 虐待又は遺棄その他子の福祉に反する行為が著しい場合

また、養子となる者が成年であっても父母が正当な理由なく同意をしない場合は、養親又は養子となる者からの申立てにより家庭法院(裁判所)が審判できるとしています。

 

■親(しん)養子制度

親養子制度は2005年に新設された新しい養子制度です。当事者間の合意に基づき親子関係を成立させる入養(養子縁組)とは異なり、法院(裁判所)の審判により親子関係を発生させる制度として日本の特別養子制度に当たります。

親養子を養子縁組するためには、親養子となる者の登録基準地を管轄する家庭法院(裁判所)へ親養子入養の申立をしなければなりません。

★養子と親養子の比較

 

養子

親養子

養子の

年齢

成年又は未成年者

未成年者

※年齢制限はなし

養親の

制限

成年者(養子より年長者)

配偶者がいれば夫婦共同縁組

成年者かつ夫婦共同縁組

婚姻期間3年以上、但し配偶者の実子を親養子にする場合は1年

同意権者

 

 

父母

実父母

法定代理人の承諾

成年は不要

未成年者:13歳以上:要

     13歳未満:代諾

 

未成年者:13歳以上:要

     13歳未満:代諾

家庭法院

(裁判所)

専決基準

養子となる者が未成年者の場合

・同意権者又は承諾権者の欠格事由

・父母の3年以上育児放棄、虐待等の子の福祉に著しく反する行為

・同意権者又は承諾権者の欠格事由

・実父母の有責理由により3年以上育児及び面接交渉放棄

・実父母による虐待等の子の福祉に著しく反する行為

許可基準

未成年養子の福祉に鑑み、その養育状況や養子縁組の動機、養親の養育能力その他事情を考慮し、許可しないことができる

親養子の福祉に鑑み、その養育状況や養子縁組の動機、養親の養育能力その他事情を考慮し、養子縁組が適当と認められない場合は棄却することができる

効果

・養子縁組成立時から養親の実子と同じ地位を有する

・縁組前の親族関係は継続

 

・親養子は婚姻中の出生子として擬制

・縁組前の親族関係は審判確定時に終了

 

★入養申告手続

家庭法院(裁判所)の審判が確定後、審判確定日から1ヶ月以内に審判書謄本と確定証明書を添付して、養子の登録基準地の役場へ入養申告(養子縁組届出)手続をしなければなりません。(報告的届出)

役場では上記の申告書を基に養子と養親それぞれの家族関係登録簿に養子縁組による身分変動事項の記載(登録)がなされますが、関係する証明書としては、養子と養親それぞれの家族関係証明書と入養関係証明書又は親養子入養関係証明書になります。

養子が成人の場合はこの入養申告手続により養子縁組が成立することになります。(創設的届出)

親養子の場合は、入養申告により縁組前の本人の家族関係登録簿は閉鎖され、新たに作成された家族関係登録簿の父母欄に養親を実父母と記載されます。また、養親の家族関係証明書の子の欄に親養子が実子として記載されますので、養子縁組に関する事項は親養子と養親それぞれの親養子入養関係証明書以外では確認することができません。

更に親養子入養関係証明書の交付請求については、原則成人した親養子本人とする制限を設けていますが、特別永住者の帰化申請や相続手続を理由とした本人以外の配偶者や子からの交付請求については認める運用をしています。

■日本における韓国籍者の養子縁組■        

例えば、韓国籍配偶者の未成年の連れ子を日本人が養子縁組しようとする場合、改正前までは法の適用に関する通則法第31条の規定により、養親の本国法である日本民法を準拠法として家庭裁判所の許可は不要でしたが、201471日からの改正により養子の本国法である韓国民法(第867条1項)の規定より、満19歳未満の韓国籍未成年者の養子縁組については必ず韓国家庭法院(裁判所)の許可を得る必要があります。日本の家庭裁判所の許可に換えることはできません。また、領事館での手続きもできませんので、直接韓国の家庭法院の許可を得なければなりません。

成年(満19歳以上)の養子縁組については、家庭法院の許可は不要です。

 

【家族関係登録簿事項別証明書】

《種類》       《証明事項》

①基本証明書 ・・・・・ 本人の出生、死亡、改名等の事項(婚姻、縁組は別途)

②家族関係証明書・・・・・父母、配偶者、子どもまでの親族関係(三代まで)

③婚姻関係証明書・・・・・・・・婚姻と離婚に関する事項

④入養関係証明書・・・・・・・・養子縁組、離縁に関する事項

⑤親入養関係証明書・・・・・・・特別養子縁組、離縁に関する事項

※日本の普通養子縁組に当たる④と特別養子縁組に当たる⑤の証明書において、それぞれの養子縁組による身分変動事項を確認できます。